夫婦二人暮らしの生活、子供のいる生活、子供が巣立った後の生活、親の介護がある生活、自分の老後の生活。
人生が移り変わるように、家もライフステージに合わせて使い方をできるだけ変えられるように設計しています。
こちらのお家は、高れい者を補助するための要素をナチュラルで美しく見えるよう空間に溶け込ませたお家です。
『S邸』(「第2回 埼玉建築文化賞 優秀賞」受賞作品です。)
壁の手すり
高れい者の方は、机、いす、壁など、安定した箇所であればどんなものでも掴んだり手を置くことで体のバランスを取ろうとします。
そこで、「手すり」といった高れい者の自立を補助するための要素を「安定した掴む場所」に捉えなおして考えました。
手すりを壁に掘り込んだ形に設計し、空間に溶け込ませることで、高れい者向けのいわゆる「手すり」という雰囲気にならず、すっきりとした美しい印象の空間となっています。
また、手すりを壁に掘り込んだ形にしているので、ぶつかることや服や物を手すりに引っ掛けたりする心配もなく安心です。
玄関のベンチ
靴を履き脱ぎするときに腰かけたり、立ち上がる時に手を置くためのベンチです。
ベンチの内部は収納スペ―スとなっており、玄関収納として使えるほか、ベンチとして使われない時は腰掛け部分を飾り棚としても使えるようにデザインしました。
浴室の手すり
なるべく「手すり」感が出ないように、壁に合わせた色にして、付け根の細いスマートなデザインの手すりを選びました。
また、触った感触がヒヤッとしない樹脂製のものにしました。